顔の動きで笑ったり口を尖らせたりするには、表情を作る筋肉(顔面表情筋)が左右それぞれ動く事により出来ますが、病気やけがによって顔面神経が障害され、この動きができなくなった状態が顔面神経麻痺です。
主に片側ですがおでこ、眉毛、まぶた、ロ唇など顔の一部またはすぺての動きが悪くなります。
顔面神経は頭の中から出て耳たぶの下の深いところを通って顔面表情筋に分布しています。
顔が左右不対称(いびつ)に見えるだけでなく、まぶたが閉じられないので眼が乾燥して痛んだり、口が閉じられないため食ぺたものがこぼれてうまく食事ができなかったりします。
程度の軽い例でも顔を動かすといびつさが目立つため、社会的に消極的になりがちで、精神的にもダメージの大きい病気です。
顔面神経麻痺の原因としてはへルぺスウィルスによるものがあり、この場合は早期に内科的治療やマッサージなどを行い、筋麻痺の改善を図ります。外傷や手術で神経が切れてしまった場合も、直後に縫い合わせたり、神経移植したりもします。
しかし、長時間経って改善の少ない場合は、顔面神経の修復は難しく、他の方法で麻痺による症状を改善させます。それには動的再建術と静的再建術とがあります。
動的再建術は主に口唇部のゆがみに対して、麻痺していない筋肉を移行したり、身体の他の部位から少量の筋肉と神経を同時に移植したりします。
静的再建術は、おでこや上まぶたの垂れ下がりで物が見にくかったり、頬や口角の垂れ下がりで、口から食ぺ物がこぼれたり空気が漏れてしゃべり辛かったりすることに対して、下がっている皮膚を一部切り取ったり、眉毛や口角の垂れ下がりに対して筋膜、糸などを皮膚の下に移植したりして吊り上げる治療の事を言います。
目がちゃんと閉じない為に乾燥による結膜炎の症状に対して、閉じられるようにするために金製の小さいおもりを上まぶたに埋め込む手術もこれに属します。これらの治療には顔面を積極的に動かして表情運動を回復させる効果はないので静的手術と呼ばれます。
効果としては選択した手術法によって異なりますが、かなりの程度まで症状を改善させたり、表情を回復させたりすることができます。
当院は顔面神経麻痺施設認定クリニックとなっており、保険診療で行っております。